睡眠に関する悩みを持つ人は多く、その内容も人それぞれです。三橋さんは、「長年悩んでいたことでも、ちょっとした工夫で解決できるかも知れません」と話します。ここではよくある睡眠の悩みをピックアップし、簡単かつ効果的な対策とともに紹介します。
イライラしたり、気になることがあったりするときは、次の「筋弛緩法」で全身をリラックスさせることが大切。布団に仰向けになり、目を閉じた状態で、下記に示す体の各部分に8割程度の力を入れて10秒ほど保ち、パッと力を抜いて20秒ほど脱力を感じるだけ。緊張がとれてポカポカしてきたらOKです。
眠ろうとしたときにあれこれ考え始めてしまうときは、目を閉じて、人差し指で耳の穴をふさぎ、1分くらい鼻から細く空気を吐きながら「ん〜」と頭に響かせます。指を抜くと……あら不思議、頭の中がシーンとしていませんか。
不規則な生活が続くと睡眠のリズムも乱れてしまい、体に良くありません。こういう場合は、眠る時間の半分を決まった時間(コアタイム)にし、残り半分を眠れるときに眠るようにすると比較的体の負担を軽減できます。これを「アンカースリープ」といいます。コアタイムは深夜0〜4時の間に設定できるのが理想です。ただし、こうした方法は2週間を限度とし、できるだけまとまった睡眠時間を確保できるようにすることが大切です。
腰痛の人は、フェイスタオルを縦長に3つに折って腰の下に置いて寝ると、隙間が埋まって楽になります。膝の下にクッションを入れると痛みがやわらぐこともあります。エビのように体を丸めて脚にクッションを挟む姿勢もおすすめです。
背中に枕をくくり着けて(背枕といいます)仰向けになるのを防いだり、ややうつぶせぎみになって枕やクッションで体を支える「シムスの姿勢」というポーズをとると効果的です。
現代人には、1日8時間眠らなければならないと信じている人が意外に多いようです。確かに一定以上の睡眠時間は必要ですが、1日の活動量が少ない人の場合、それほど眠らなくても問題ありません。もし、無理に眠ろうとして床に入り、眠れないと悩んでいるなら、思い切って睡眠時間を1時間くらい短くしてみましょう。
夜中にトイレに起きたときに明るい電気をつけてしまうと、その刺激で脳が覚醒してしまいます。寝室や廊下はフットライトなどで安全に移動できる程度に照らしましょう。個室内の照明は温かい電球色にしておきます。また、便座が冷たいとやはり刺激になるので冬などは特に気をつけましょう。
睡眠に関する仕事を始めて20年以上になる三橋さんは、特に枕に関する知識が豊富で、これまで1万人以上にフィッティングを行ってきたいわば“枕博士”です。その三橋さんがいま、つくづく感じているというのが、日本人の多くが高過ぎる枕を使っているということ。枕の一番の役割は、立っているときの姿勢を寝ているときにも保つこと。つまり、横になったときに、首から後頭部にかけてマットレスとの間にできる隙間を枕によって埋めることこそ大切なのだといいます。次に買い替えるときはこのことを念頭に、できればマットレスと枕をセットで揃えることを心がけましょう。
ベッドに入って眠れない日が続いたことはないでしょうか。こんな時はいったんベッドから出て、眠気を催したときに再びベッドに入るようにしましょう。気持ちを切り替えることが大切です。ここに快眠へのポイントをいくつかご紹介しましたが、いろいろと試してみて、自分らしい眠りのスタイルを見つけてみてください。