- 高血圧における運動療法
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運動療法
適切で定期的な運動には、血圧を下げる効果が確認されており、高血圧の改善につながります。
自分に合った運動方法を見つけ、運動する習慣をつけましょう。高血圧になる原因には、食塩の摂りすぎをはじめ、肥満や飲酒など、食生活に関する事柄が多く含まれます。 食事内容や習慣を見直し、血圧を良好にコントロールしましょう。
なぜ運動が血圧を下げるの?
私たちのからだは通常、運動をしている最中は、心拍数が上がり、血流量が増すため、血圧が上がります。しかし、適切な運動を長期間くり返して続けていると、血管が広がり、血液循環が良くなるため、血圧が下がりやすくなることがわかっています。
また、血糖値を下げる働きを持つインスリンは、同時に血圧を上げる作用を持ち合わせています。運動を行うとインスリンの働きが改善されるため、日常において相対的にインスリンの必要量が減り、血圧を上げる作用を抑えられます。
そのほか、肥満の予防や解消、ストレスの発散などさまざまな効果が期待されます。運動を始める前に、
必ずメディカルチェックを受けましょう運動療法を安全かつ効果的に実施するためには、患者さんのからだの状態や、ほかの病気の有無を事前に調べる必要があります。不適切な運動は逆効果になってしまうこともあります。けがや事故を防止するためにも、必ず医師の診察(メディカルチェック)を受けましょう。また、運動のタイプと強度は主治医と相談しましょう。
次のような方には、運動療法は適していません。
重度の高血圧の方
心筋梗塞など
心疾患のある方関節や骨の
疾患のある方腎機能の低下が
進んだ方立ちくらみを
頻繁に起こす方
腎機能の低下が
進んだ方立ちくらみを
頻繁に起こす方
運動のポイント
- 運動療法を行う際の注意点
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運動療法を行う際の注意点
ウォーミングアップ(準備運動)と
クーリングダウン(整理運動)運動を始める前のウォーミングアップと、終えた後のクーリングダウンは忘れずに行いましょう。
運動を始める前のウォーミングアップと、終えた後のクーリングダウンは忘れずに行いましょう。
水分補給
水分はこまめに補給しましょう。特に夏場の脱水症状には気をつけましょう。
気温の変化
炎天下での長時間の運動は避けましょう。寒い日には、ネックウォーマーや手袋をして体を冷やさないようにしましょう。
体調管理
体調が悪いときは、無理をせずに休みましょう。
動悸やめまいなどの症状
激しい動悸やめまい、痛みなどを感じた場合は、すぐに運動を中止しましょう。
※このようなことが頻繁に起こる場合は、主治医に相談してください。 - 代表的な有酸素運動「ウォーキング」のススメ
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代表的な有酸素運動「ウォーキング」のススメ
有酸素運動のなかで代表的な運動がウォーキングです。1日30分ぐらいを目標に、まずはゆっくり楽しみながら歩きましょう。慣れてきたら、「少しきつい」と感じる程度で歩くとさらに効果的です。
- 日常生活の工夫
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日常生活の工夫
運動の時間がなかなかとれない方は、普段の生活の動作でエネルギー消費量を上げるように心がけましょう。運動は小分けで行っても効果がありますので、日常生活のさまざまな部分で工夫してみてください。
たとえばこんな工夫を
階段を使う
エレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を使いましょう。
1分間行った場合の
エネルギー消費量のめやす- 階段を上る(ゆっくり): 4kcal
- 階段を下りる:3.5kcal
通勤時は1駅分歩く
通勤の際に1駅分歩くことも効果的です。また買い物には、車ではなく自転車や徒歩で出かけると良いでしょう。
10分間行った場合の
エネルギー消費量のめやす- 普通歩行: 30kcal
- 自転車に乗る:40kcal
家事はこまめに
掃除や洗濯など、家事をこまめに行うことを習慣づけましょう。
10分間行った場合の
エネルギー消費量のめやす- 皿洗い:18kcal
- 風呂掃除:35kcal
- 洗濯 :20kcal
- 庭の草むしり:35kcal
- 掃除機をかける:33kcal
※表示カロリーはすべて60kgの人が行った場合のエネルギー消費量
厚生労働省:運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書(平成25年3月)より算出