運動療法運動療法

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<監修>
日本医療大学 総長
島本 和明 先生

高血圧における運動療法

運動療法

適切で定期的な運動には、血圧を下げる効果が確認されており、高血圧の改善につながります。
自分に合った運動方法を見つけ、運動する習慣をつけましょう。

高血圧になる原因には、食塩の摂りすぎをはじめ、肥満や飲酒など、食生活に関する事柄が多く含まれます。 食事内容や習慣を見直し、血圧を良好にコントロールしましょう。

なぜ運動が血圧を下げるの?

  私たちのからだは通常、運動をしている最中は、心拍数が上がり、血流量が増すため、血圧が上がります。しかし、適切な運動を長期間くり返して続けていると、血管が広がり、血液循環が良くなるため、血圧が下がりやすくなることがわかっています。
  また、血糖値を下げる働きを持つインスリンは、同時に血圧を上げる作用を持ち合わせています。運動を行うとインスリンの働きが改善されるため、日常において相対的にインスリンの必要量が減り、血圧を上げる作用を抑えられます。
  そのほか、肥満の予防や解消、ストレスの発散などさまざまな効果が期待されます。

なぜ運動が血圧を下げるの?
運動を始める前に、
必ずメディカルチェックを受けましょう

運動療法を安全かつ効果的に実施するためには、患者さんのからだの状態や、ほかの病気の有無を事前に調べる必要があります。不適切な運動は逆効果になってしまうこともあります。けがや事故を防止するためにも、必ず医師の診察(メディカルチェック)を受けましょう。また、運動のタイプと強度は主治医と相談しましょう。

次のような方には、運動療法は適していません。

  • 重度の高血圧の方重度の高血圧の方
  • 心筋梗塞など心筋梗塞など
    心疾患のある方
  • 関節や骨の疾患のある方関節や骨の
    疾患のある方
  • 腎機能の低下が進んだ方腎機能の低下が
    進んだ方
  • 立ちくらみを頻繁に起こす方立ちくらみを
    頻繁に起こす方
  • 腎機能の低下が進んだ方腎機能の低下が
    進んだ方
  • 立ちくらみを頻繁に起こす方立ちくらみを
    頻繁に起こす方

運動のポイント

1. 酸素を十分に取り入れる「有酸素運動」を行いましょう。

有酸素運動とは酸素をたくさん取り込みながら、長い時間行える負荷のあまり高くない運動のことをいいます。高血圧の運動療法には、運動時の血圧上昇が小さい有酸素運動が望ましいとされています。

気軽にできる有酸素運動
  • ウォーキング(徒歩)ウォーキング(徒歩)
  • 軽いジョギング軽いジョギング
  • サイクリングサイクリング

エネルギー消費量一覧表 詳細をみる

2. 運動は1日30~60分、なるべく毎日行うようにしましょう。
    (1日の運動は、10分×3回などの小分けにしてもOKです)
3. いきなり過度な運動をせずに、徐々に運動の強度を上げていきましょう。

次のような運動は、運動療法には適していません

  • 筋力トレーニング
  • 短距離走
運動療法を行う際の注意点

運動療法を行う際の注意点

ウォーミングアップ(準備運動)と
クーリングダウン(整理運動)

運動を始める前のウォーミングアップと、終えた後のクーリングダウンは忘れずに行いましょう。

ウォーミングアップ(準備運動)とクーリングダウン(整理運動)

運動を始める前のウォーミングアップと、終えた後のクーリングダウンは忘れずに行いましょう。

水分補給

水分補給

水分はこまめに補給しましょう。特に夏場の脱水症状には気をつけましょう。

気温の変化

気温の変化

炎天下での長時間の運動は避けましょう。寒い日には、ネックウォーマーや手袋をして体を冷やさないようにしましょう。

体調管理

体調管理

体調が悪いときは、無理をせずに休みましょう。

動悸やめまいなどの症状

動悸やめまいなどの症状

激しい動悸やめまい、痛みなどを感じた場合は、すぐに運動を中止しましょう。
※このようなことが頻繁に起こる場合は、主治医に相談してください。

代表的な有酸素運動「ウォーキング」のススメ

代表的な有酸素運動「ウォーキング」のススメ

有酸素運動のなかで代表的な運動がウォーキングです。1日30分ぐらいを目標に、まずはゆっくり楽しみながら歩きましょう。慣れてきたら、「少しきつい」と感じる程度で歩くとさらに効果的です。

服装選びのポイント 靴選びのポイント

日常生活の工夫

日常生活の工夫

運動の時間がなかなかとれない方は、普段の生活の動作でエネルギー消費量を上げるように心がけましょう。運動は小分けで行っても効果がありますので、日常生活のさまざまな部分で工夫してみてください。

たとえばこんな工夫を

階段を使う

階段を使う

エレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を使いましょう。

1分間行った場合の
エネルギー消費量のめやす
  • 階段を上る(ゆっくり): 4kcal
  • 階段を下りる:3.5kcal

通勤時は1駅分歩く

階段を使う

通勤の際に1駅分歩くことも効果的です。また買い物には、車ではなく自転車や徒歩で出かけると良いでしょう。

10分間行った場合の
エネルギー消費量のめやす
  • 普通歩行: 30kcal
  • 自転車に乗る:40kcal

家事はこまめに

掃除や洗濯など、家事をこまめに行うことを習慣づけましょう。

10分間行った場合の
エネルギー消費量のめやす
  • 皿洗い:18kcal
  • 風呂掃除:35kcal
  • 洗濯 :20kcal
  • 庭の草むしり:35kcal
  • 掃除機をかける:33kcal

※表示カロリーはすべて60kgの人が行った場合のエネルギー消費量
厚生労働省:運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書(平成25年3月)より算出

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