金沢市民の台所

古くから繁華街として栄えた近江町市場おうみちょういちばは、庶民の台所として江戸時代から金沢の人の生活を支えてきました。市場内には185の専門店が軒を連ね、日本海で捕れた鮮度抜群の魚介類をはじめとする生鮮食品が身を寄せ合うように並べられています。威勢のよい売り子の声に、昭和の面影を残す店構え、日々の買い物では味わえないノスタルジックな感覚に浸ることができるのも魅力の一つです。
さて、「買い物を楽しみたいけど、持って帰るのがたいへんだなぁ」なんて嘆き節も聞こえてきそうですが、ご安心ください。お店から発送することも可能ですし、市場内には宅配便の受付店舗もあり、そこに持ち込んでまとめて自宅に送ることもできます。

新鮮な魚介類がめじろ押しで、どれを買おうか迷ってしまうほど。思いっきり迷ってください。それが市場の醍醐味です。

甘えびやぼたんえび、牡蠣かきなど、その場で調理してもらって食べることもできます。かなりワイルドです。

名物の“甘えび”に舌つづみ

撮影協力：近江町海鮮丼家ひら井

市場での昼食で一押ししたいのが、新鮮な“甘えび”を使った海鮮丼です。肉質がやわらかく、とろけるような食感と口の中に広がる上品な甘みが特長の甘えび。あまり知られていませんが、高タンパク低脂肪であることに加え、アミノ酸やタウリン、ビタミンEなどの栄養素も豊富に含まれています。
魚介類は獲れたてが一番ウマイ、というのが通説ですが、実は甘えびには当てはまりません。水揚げ直後よりも1日ほど置いたくらいが、甘みが増すといわれています。つまり、市場の店頭に並ぶころが、一番の食べ頃というわけです。

撮影協力：近江町海鮮丼家ひら井